インバさんちの過去ログ。 |
僕はどのくらい、君を愛せるだろうか。
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何があったか、聞けないし聞かない。 インコをかばって重傷を負っても学校を休まなかった茶度泰虎が欠席した。 石田雨竜はそんな彼らを見ながら何も言わなかった。 「イヤミな位晴天だ」 雨竜は屋上で雲一つない青空を仰ぎながらため息をついた。 「あれだけの霊圧だったんだ。すごい敵だったんだろうな」 茶度が欠席するほどのダメージを受けているだろうというのは想像がついた。 「彼ならそうするだろう」 そこに自己犠牲の精神はない。 「彼は守ろうと思ったんだ」 黒崎一護と同じだ。 もし、茶度や黒崎ならば、雨竜の立場になっても雨竜が選んだ方法は採らないだろう。 「僕は滅却師の力がなかったら…霊力を持たずに育ってきたら…戦わないのか?」 自分に問いかけてみる。 「余裕…がないんだ。僕は」 わかってはいたけど、あの二人のように自分をさらけ出す強さを持てない。 夕べの事もそうだ。 『私ならお前のその失った能力を元に戻してやることができる』 唐突に囁かれた父親の言葉。 雨竜はその言葉に縋り付いた。 あれだけ憎んでいた父親の出した交換条件さえも滅却師の力を取り戻す事に比べれば些細な事に思えた。 (僕は滅却師でいたい) 虚に殺められる人たちを守りたいと思っていた。 「力を失った事を後悔はしていないんだ」 それだけは間違っていない。 そしてその行動を後悔していた。 能力の戻った自分の体は嘘のように快適で、とても生きやすかった。 そう、今のように…。 「君たちがどんなに苦しんでいても、僕はそこへ行けない」 そして戦う彼らを視界に入れない。何があっても助けない。 ふ、と雨竜は苦い笑みを漏らした。 「逆もそうだ」 自分がどんなに苦戦していても誰も呼ばない。 「あいつら、助けられなかったとか言いそうだからな」 僕は一人で生きて行く。 「そうすれば滅却師でいても許されるだろう」
君が今どこにいるのか。 無意識に霊絡を手繰ろうとしている自分を叱咤して、具合を確かめに行かないようにして。 ただ誰にも見つからないように。 君が僕にくれたすべてを押し込んだ小箱をそこに埋めて僕は。 君を想う言葉も泡にして。
君のように強くなりたいと。
end. |
インバさん曰く「明日をも知れぬ週間連載の先を妄想すると外した時イタイ」